Zoomウェビナーとは?使い方を開催前~開催後までの一連の流れで解説
Zoomウェビナーは、最大5万人規模のオンラインイベントやセミナーを開催できるZoomの機能です。参加者の役割が明確に分けられ、豊富な機能と拡張性から企業のイベント運営に適したツールとして注目されています。
本記事では「オンラインセミナーを企画しているけれど、Zoomウェビナーの使い方がわからない」という方に向けて、ウェビナー開催の流れに沿ってZoomウェビナーの機能や使い方を解説します。規模や目的に合わせたスムーズなイベント運営が可能になりますので、ぜひ最後までお読みください。
Zoomウェビナーとは
Zoomウェビナーとは、オンラインイベントやセミナーを開催するためのZoomの機能です。最大5万人規模のイベントに対応しており、さまざまな企業で幅広く利用されています。
主催者と登壇者のみが参加者にビデオ、オーディオ、資料を共有することができ、一方的に情報を発信する形式が望まれる大規模セミナーやプレゼンテーションに使用されるケースが多くあります。人気Web会議ツールであるZoomが提供していることから、導入に対する安心感がある点や、Zoomを日常的に使用している人であれば直感的に操作できる点が強みです。
ZoomウェビナーとZoomミーティングの違い
ZoomウェビナーとZoomミーティングは一見似ていますが、参加者の役割や開催規模、活用できる機能などに違いがあります。Zoomミーティングでは、すべての参加者がカメラやマイクを使用して発言したり、画面を共有したりできます。一方、Zoomウェビナーでは主催者、登壇者、出席者の役割が明確に分かれているのが特徴です。出席者は基本的にマイクやカメラは使用せず、チャットを使用した質問や投票が行えます。
また、Zoomミーティングの最大参加人数は1,000人程度ですが、Zoomウェビナーは最大5万人まで対応できるため大規模イベントに適しています。機能面でも大きな差があり、Zoomウェビナーは、Q&Aや投票機能、登録フォーム作成など、イベント運営を円滑にするための機能が充実しています。一方、Zoomミーティングは少人数での会議やディスカッション向けのシンプルな機能が特徴です。
Zoomウェビナー | Zoomミーティング | |
---|---|---|
各関係者の役割 | ・ホスト:ウェビナーの主催者(管理者) ・共同ホスト:ホストからホスト権限を与えられた参加者 ・パネリスト: ホスト以外の登壇者 ・出席者:ホスト・共同ホスト・パネリスト以外の参加者 | ・ホスト:ミーティングの主催者 ・共同ホスト:ホストからホスト権限を与えられた参加者 ・参加者:ホスト・共同ホスト以外の参加者 |
参加可能人数 | 最大5万人 | 最大1,000人 |
参加者の映像・音声 | 出席者の映像と音声はデフォルトでオフ(ホストによる許可が可能) | 全参加者が映像と音声をオンにできる |
チャット機能 | チャットはホスト・パネリストが可能(設定次第で制限可能) | 全参加者がチャット可能 |
Q&A機能 | 専用のQ&A機能あり | なし(チャットで代替) |
画面共有 | ホストとパネリストのみ可能(出席者には許可が必要) | 全参加者が画面共有可能(設定次第で制限可能) |
参加者リスト表示 | 出席者には他の参加者が表示されない | 全員がリストを確認可能 |
参加者の発言権 | パネリストのみ自由に発言可能。出席者はホストが許可した場合に可能 | 全参加者が自由に発言可能(ホストのミュート設定に依存) |
料金体系 | Zoomの有料プランに加入+別途ウェビナープランの購入が必要 | 無料・有料プランが存在 |
Zoomウェビナーの使い方(開催前)
Zoomウェビナーを成功させるには、事前準備が欠かせません。ここでは、ウェビナー開催前にZoomウェビナーで行うべき設定や使い方について解説します。
スケジュールの設定
まずはスケジュールの設定を行います。Zoomアカウントにログインしたらダッシュボードから「スケジュールを設定」を選択し、以下の項目を入力します。
イベント名
日時と時間
所要時間
タイムゾーン
その他、パスワード設定や録画設定もスケジュール設定画面で行えます。
パネリストの登録
ウェビナーの設定画面からパネリストを追加します。パネリストとして登録したい人の名前やメールアドレスを入力し、招待状を送信できます。パネリストは招待状に記載のある専用リンクで簡単にZoomウェビナーにログインでき、全ての機能を利用可能です。パネリストは複数人登録できるため、そのうち進行役やプレゼンター、Q&A対応を行う担当者などを事前に決定しておくことでスムーズな進行が可能です。
アンケートと投票の設定
ウェビナー中や終了後に、アンケート機能や投票機能を使うことができます。アンケート機能はホストがウェビナーを終了するか参加者が退出した際に表示され、参加者のウェビナー満足度やニーズ、関心の理解に有効です。一方、投票はウェビナー中に実施でき、リアルタイムで参加者の反応を確認できるため、特定の質問やテーマについて参加者の意見や理解度を把握するのに適しています。
アンケート機能は事前に内容の設定が必要です。一方、投票機能は事前に設定をオンにしておくことで、開催中でも自由に投票を作成できます。どちらもZoomウェビナー設定画面内の「ミーティングにて(基本)」のページから設定可能です。
リハーサルの実施と配信設定の確認
ウェビナー開始前に、すべての設定を確認しリハーサルを行います。当日は配信開始の30分前までにはホストとパネリストが入室し、最終確認を行いましょう。リハーサルを行う際に確認すべき点は以下のとおりです。
音声や映像は問題なく届いているか
資料やスライドがスムーズに表示できるか
チャットや投票機能は問題なく動作しているか
自動レコーディングにチェックが入っているか(アーカイブ配信を行う場合)
また、順次入室してくる参加者のための待機画面を設定するのがおすすめです。待機画面はアカウント設定画面のセキュリティタブから待機室の設定を有効にすることで設定できます。事前に用意した音声を流し「音声の共有」を押すことで待機画面でBGMを流すことも可能です。
Zoomウェビナーの使い方(開催中)
ウェビナー中は、効率的な進行と参加者とのコミュニケーションが求められます。この章ではウェビナー開催中に使用する機能の使い方や具体的な活用方法を詳しく解説します。
画面共有の活用
パネリストやホストは「画面共有」ボタンからPowerPointやPDFなどの資料を共有できます。資料を活用することで参加者が視覚的に理解しやすくなり、プレゼンテーションの説得力が増します。ウェビナーで使用するスライドやPDF資料は事前に整理し、スムーズに切り替えられるようにしましょう。また、他のパネリストが画面共有する資料を操作する必要がある場合、共有権限を与えることで効率的に進めることができます。
動画を使用する場合は、音声共有のチェックを忘れないように設定しましょう。「画面共有」ボタンから流したい動画の画面を共有したあと「コンピューターの音声を共有」にチェックを入れることで動画の音声を全体へ共有可能です。
参加者の管理
「参加者」タブから出席者リストを確認でき、名前や参加状況、接続状態を把握できます。また、このタブから出席者をパネリストへ変更可能です。該当の出席者はパネリストへの変更によって、全体へ画面や音声の共有が可能になります。
これは、特定の出席者が専門的な知識を持っており、それを共有したい時や、画面共有で何か説明したい時に活用できます。出席者がより当事者意識を持つことができ、意見や質問を引き出しやすいためイベントの活性化に効果的です。
Q&Aの活用
参加者からの質問をリアルタイムで受け付け、必要に応じて回答します。参加者の疑問をリアルタイムで解消できるため満足度向上につながったり、双方向のコミュニケーションをとることで参加者を主体的に巻き込み、ウェビナーの一体感を向上させたりと、大きな効果が得られます。
参加者は質問するだけでなく、他の参加者が送信した質問にいいねボタンを押すことができ、ホストはいいね数を元に質問を並び替えることができます。多くの参加者が気になっている質問が分かるため、回答の優先度をつけたい時に有効です。
その他にも、似た質問をまとめたり不要な質問を却下したりといった機能もあります。時間は限られているので、優先度を見極めて質問への回答を行いましょう。質問に回答できない場合、後日回答用の資料を配布する旨を伝えると誠実な印象を与えられます。
投票機能による参加者の反応集計
事前に設定した投票を配信し、参加者の反応を集計できます。単一選択もしくは多項目選択式の質問ができ、投票結果は即座に共有することも、後からレポート出力することも可能です。参加者の理解度や意見をリアルタイムで把握でき、必要に応じて話題を深掘りすることが可能です。
チャットでのコミュニケーション
パネリストや主催者間のチャットに加え、出席者との一部制限付きチャットも設定できます。不適切な投稿を防ぐため、モデレーター(コメントの管理者)を設定することも可能です。参考となるページのリンクや関連資料をチャットで配布することができたり、配信トラブルにもチャットで迅速に対応することができたりと、スムーズなウェビナー開催に効果的です。
レコーディングの設定
ウェビナーを録画しておくと、後日の配信や振り返りが可能です。録画は自動と手動どちらでも行えますが、自動録画の場合は事前に設定が必要です。自動録画を行う場合は、ウェビナー開始前に「ウェビナーをスケジュールする」の設定から「ウェビナーを自動的にレコーディングします」にチェックを入れておきましょう。
手動録画の場合は、ウェビナー開始直後に「録画」ボタンを押すだけで録画が開始されます。ウェビナーに参加できなかった人へのアーカイブや、次回の改善点の振り返りに活用しましょう。
Zoomウェビナーの使い方(開催後)
ウェビナー終了後も、参加者へのフォローアップやデータ管理を行い、次回のイベントにつなげましょう。ここでは、開催後に行うデータのダウンロードや編集機能の使い方について解説します。
レポートのダウンロード
Zoomのレポート機能では参加者の登録情報や入退室時間、アンケートや投票の回答情報を確認できます。これらの情報をエクスポートし、分析に役立てましょう。
例えば、ウェビナーのどの場面で参加者が増減したかを確認することで、次回のウェビナーのプログラム改善に活用できます。また、Q&Aや投票でどのような反応や質問が多かったかを確認できれば、メルマガやオウンドメディア、SNSで発信するコンテンツの内容や、次回以降のウェビナーのテーマ決めに活用できます。
また、レポート機能から開催中に来た質問の一覧もエクスポートできるため、回答できなかった質問に答えたり、抱えている課題に対する提案を行ったりなどのフォローアップも忘れないようにしましょう。
録画データの編集
「録画」セクションから、録画した動画のダウンロードと編集が可能です。プレビュー画面で「再生範囲の設定」機能を使用することで、特定の範囲を指定して動画を共有することができます。
この機能によって、準備シーンやアンケート回答を促すシーンなどのアーカイブに不要な箇所を削除・調整でき、視聴者にとって有益な部分のみを共有できます。細かいカットや音量の調整、明るさの調整などは、外部ツールの使用が必要です。
アーカイブ配信の設定
Zoomウェビナーでは、ウェビナー動画をオンラインで公開するアーカイブ配信の設定ができ、復習したい参加者や欠席者に対して動画を共有できます。録画の公開方法は大きくわけて3つあります。
1つ目はウェビナーをレコーディングし、ウェビナー終了後に共有用のリンクとパスワードを取得し、それらを希望者に対してメールやチャットで送付する方法です。
2つ目はレコーディングしておいたウェビナー動画をダウンロードし、YouTubeをはじめとする動画配信プラットフォームにアップロードして、共有する方法です。
3つ目はウェビナー設定時に、オンデマンド配信を行う設定にしておく方法です。オンデマンド配信とはウェビナー録画を、視聴者が自分の都合に合わせて視聴できる機能です。設定時に「ウェビナーをオンデマンドにする」にチェックを入れておくことで、ウェビナー終了後に申し込みがあった場合録画の案内が自動的に行われます。
オンデマンド配信については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
Zoomウェビナーのオンデマンド配信 メリットと手軽に始める設定方法|FanGrowth(ファングロース)
Zoomウェビナーは費用がかかる
Zoomウェビナーの利用には、Zoomの有料プランへの加入に加えて、Zoomウェビナーのプランの契約が必要です。Zoomウェビナーのプランは3つで、参加可能人数によって料金が増減する従量課金型となっています。基本機能はすべてのプランで利用可能ですが、分析や高度なサポート、専用のカスタマイズ機能は上位プランで追加されます。
それぞれのプランで利用できるオプションとしては、グローバルなイベントに効果的なリアルタイム翻訳機能や、有料イベント開催時に役立つ参加費の収益化機能などがあります。追加料金が必要ですが、必要に応じて活用することでより効果的なウェビナー開催が可能です。
Zoomウェビナーのプランについては以下の記事で詳しく紹介しています。具体的な料金やプラン内容を知りたい方はぜひご覧ください。