初めてのウェビナー開催ガイド〜準備から配信までの流れ〜|ZoomとMicrosoft Teamsはどう違う?
新型コロナウイルスのパンデミックによって対面での行動が制限された頃、顧客との接点の場として急速に普及したのがWeb会議システムです。この仕組みをマーケティングに活用しオンライン上でセミナーを開催する「ウェビナー」は、コロナ禍を経た今もなお、マーケティング施策の一つとして定着しています。
しかし、いざ自社でウェビナーを開催するとなった時には何から手をつけたらいいのかと迷う方もいらっしゃるでしょう。本記事では、ウェビナーの開催に必要な手順について準備から配信まで徹底解説します。ウェビナーの開催を検討している担当者はぜひ参考にしてみてください。
ウェビナーとは
ウェビナーとは「Web」と「Seminar」を合わせた造語で、オンラインで行うセミナーを指します。総務省の調査によると2022年時点でテレワーク導入企業は50%を越えており、それに伴いウェビナーを開催する企業も増えていると考えられます。また、インターネット環境が整備され、個人でもストレスなく動画配信や視聴が可能になったのも、ウィビナー開催企業が増えている理由の一つです。
参照:総務省「通信利用動向調査」図表4-11-2-5 テレワーク導入率の推移
具体的なウェビナーの開催シーンは、以下のようなケースが考えられます。
オンラインでのセミナー、研修会
業界の著名人や教授、専門家を招き、オンライン上でセミナーや講義する際にウェビナーが活用されています。自社の新商品や新サービスに紐づくテーマでセミナーや講義を開催することで、リードに直接アプローチが可能です。
商品の発表会、説明会、展示会
自社の新商品や新サービスが出た際の発表会や説明会、展示会にもウェビナーは役立ちます。商品やサービスの使い方を実演できるほか、パンフレットなどの資料やCM・PVといった動画も簡単に共有できます。
社内・社外研修
場所や人数に囚われないウェビナーは研修での活用も効果的です。グループディスカッションや質疑応答もオンライン上で完結できるほか、座学での研修は録画することで開催の度に講師が登壇する必要がなく教材コンテンツとして資産になります。
ウェビナー開催の5つのメリット
ウェビナー開催にはさまざまなメリットがあり、代表的なのが以下の6つです。
開催におけるコストが少ない
場所に縛られないアプローチでリード獲得が可能
豊富な機能で質の高いセミナー開催が可能
潜在層から顕在層までアプローチが可能
1ユーザーに対して複数回のタッチポイントを構築できる
露出効果が高く商材認知を広げやすい
ここではウェビナー開催のメリットから、ウェビナーが選ばれる理由を掘り下げます。
開催におけるコストが少ない
オフラインのセミナーでは開催会場の予約やレンタル、設営、受付、案内など多くのコストがかかります。一人では到底手が回らないため「セミナーを開催したくても準備や運営に必要な人材の確保がネックになっている……」という企業も少なくないはずです。
一方、ウェビナーは基本的に会場準備が必要ありません。そのため、開催にかかる手間やコストを大幅に削減できます。参加者側が移動にかかる時間やお金を削減できる点も大きなメリットです。
場所に縛られないアプローチでリード獲得が可能
ウェビナーは開催場所がオンライン上なので、インターネット環境さえ整っていれば全国各地・世界各地と場所を問わずどこからでも開催・参加が可能です。天候や場所に左右されない環境なので情報を伝達する効率が高く、多くのリードに少ない時間でアプローチが叶います。
潜在層から顕在層までアプローチが可能
ウェビナーは、「自社ウェビナー」「事例ウェビナー」「共催ウェビナー」「カンファレンス」などのウェビナー形式はもちろん、実施するテーマによっても幅広いターゲットへのアプローチが可能です。例えば、ウェビナーをテーマにする場合、潜在層と顕在層ではそれぞれ以下のようなタイトルになります。
【潜在層向け】
タイトル:Chat GPTを活用したウェビナーづくり
【顕在層向け】
タイトル:ウェビナーで月間1000リードを獲得する方法
潜在層向けにはトレンド色が強い引きのあるキーワードを入れ、顕在層向けにはより具体的な数字や成果がわかるキーワードが効果的です。
1ユーザーに対して複数回のタッチポイントを構築できる
「自社ウェビナー」「事例ウェビナー」「共催ウェビナー」「カンファレンス」などさまざまな種類のウェビナーを開催することで、商談に至るまでにユーザーと複数回接触ができます。また、同じテーマでも潜在層と顕在層で打ち出し方を変えることで、1ユーザーに対して多角的なアプローチしながら接触回数を増やすことが可能です。
接触回数を増やすとユーザーに安心感を与えながら商材への理解を進め、商談率を高められます。既存顧客に対しても、複数のタッチポイントは信頼の構築やアップセルに有効です。さらにウェビナーの内容をホワイトペーパーにしたり、イベントレポートを作成したり、アーカイブ配信を行うなど、2次利用によってユーザーに接触することでもタッチポイントを格段に増やせます。
露出効果が高く商材認知を広げやすい
ウェビナーは、SNSや各種メルマガでの拡散効果が大きく、ウェビナーに参加してもらえなくてもタイトルやコンテンツでターゲットに印象を与えられます。潜在顧客を見つけるには、まず自社の露出を増やすことが必要です。信頼性の高い媒体での露出を増やし、積極的に商材認知を広げましょう。また、大規模なカンファレンスを複数回主催することで第一想起を狙えます。
ウェビナー開催を成功させるポイントは事前の準備
ウェビナー開催を成功させるためのポイントは、ユーザーが求める本当に役に立つ情報をいかに快適に届けられるかだと言われています。
あるBtoBオンラインイベントの実態調査では、満足度が低い人の理由に「求めている情報を得られなかった」「商品・サービスの紹介ばかりだった」「配信環境が悪く聞き取りづらかった」などが挙げられ、ニーズのあるコンテンツのリサーチ不足や配信環境の確認不足が、満足度を低下させる原因となっていました。
ウェビナーは参加のハードルが低い一方で、離脱されやすい一面もあります。開催を成功させるためには、最後まで視聴したくなる飽きさせない企画立案とスムーズな進行のための準備が重要なポイントです。。
ウェビナーの開催に必要な手順
ここでは、ウェビナーの開催に必要な手順を紹介します。ウェビナーの開催方式によって、必要な準備は異なります。自社でウェビナーを開催する際の基本的な手順を理解し、参考にしてください。
企画
まずは、開催する目的からターゲットとテーマ(配信内容)を決めましょう。目的・ターゲットが定まっていなければ効果的な媒体やキーワードがわからず集客が非常に困難になります。
目的・ターゲットに合うテーマを洗い出し、最新のトレンドや業界の動向、自社にしか出せない数値や調査結果などを押さえて参加者にとって有益な企画にするのが重要です。一方的で単調な説明は離脱を招きます。合間に動画を差し込んだり、参加型の投票やクイズを実施するなど飽きさせない仕掛けを作りましょう。
集客
企画が決まったら集客の広報手段を決めましょう。Web広告やSNS広告への出稿のほか、SNSやオウンドメディアなどの自社媒体での告知、セミナー集客サイトへの掲載、メルマガ・テレアポでのアプローチなどさまざまな方法があります。目的・ターゲット・テーマによって、最適な手段を組み合わせて集客に活用しましょう。
集客のタイミングは、参加者のモチベーションを下げないよう開催の1〜2ヵ月前が理想と言われています。申し込みはできるだけ簡単に、名前とメールアドレスのみなどの必要最小限の入力で完結することが望ましいでしょう。
配信ツールの選定
ウェビナーの開催に必要な配信ツールは、規模感、予算感、そして必要な機能を比較して検討しましょう。ツールによって参加人数の制限やランニングコストが異なります。また、参加者とのコミュニケーション機能や映像・音声の記録機能、画面共有機能、サポート機能などもツールによってそれぞれです。
無料トライアルやデモを活用して基本機能や操作性を確認し、運営側も参加者側も直感的に操作しやすい配信ツールを選びましょう。
環境と機材の準備
ウェビナーの開催にはPC、カメラ、マイク、インターネット回線が必須です。持て余すほどハイスペックなものを用意する必要はありませんが、最低限配信に適した環境と機材を整えましょう。社内に適した環境がなければレンタルスタジオを利用するという手もあります。参加者にも当日はスムーズな案内ができるよう、事前に推奨環境を伝えておくと良いでしょう。
リハーサル
ウェビナーの快適な配信を実現するためには、開催当日の本番環境と同じ状況でのリハーサルが理想的です。「リハーサルをした日中は問題なく繋がっていたのに、開催当日の夜の時間帯は回線が集中して繋がりにくかった……」といったケースもあります。入念なリハーサルで事前に想定できる不具合はなるべく予測・改善しておきましょう。
参加者への案内
ウェビナー当日の参加率を下げないようにアナウンスを考えましょう。申込日から開催日までに時間があり、その間に何もアナウンスがなければ参加者の熱量は下がり、最悪の場合、当日キャンセルをされてしまう可能性があります。リマインドの連絡は開催の1週間前と前日、当日の3回が理想的です。
事前に質問を募集してウェビナー中に解決する時間を作り、当日には参加者へ特別資料を配布することを告知をしておくなど、離脱させないためのアナウンスを行っておきましょう。また、スクリーンショットや画面録画などウェビナー視聴中の注意事項も忘れず案内しましょう。
ウェビナー実施
ウェビナー開催当日は、開場から開始まで時間のゆとりを持ってスタートさせましょう。可能であれば、司会者に進行やタイムキーパーをしてもらうと効果的です。さらに配信中は想定外のトラブルも起こりうるため、配信ツールや機器の操作に詳しいスタッフ、チャットに返答するスタッフなどが常に裏で待機しておくと万全でしょう。
また、ウェビナーの内容はアーカイブのため忘れず録画しておくことで、もう一度見直したい人や当日の欠席者にも共有ができます。
アンケート回収・営業フォロー
ウェビナー開催後のアンケートはその場で回答時間を作ると高い回答率が期待できます。また、「3分で完了する簡単なアンケートです」と時間を明示して回答へのハードルを下げたり、アンケートに回答した方に当日の資料やお役立ち資料を後日送付するといった特典を付けたりすることも有効です。
アンケート結果は、改善点や反省点をフィードバックし、次回以降のウェビナーに生かすと同時に、参加者をリードに引き上げるためのインサイドセールスに活用しましょう。
ウェビナー開催の具体的なスケジュール
ウェビナーの開催を成功させるための理想的なスケジュールは以下の通りです。自社でウェビナーの開催準備をする際の目安としてご活用ください。
開催3ヶ月前 | □企画の確定 □担当者や日程の調整 | |
開催2ヶ月前 | □配信に必要な機材を整える □ウェビナー資料の準備 □参加者へのアンケート作成 | |
開催1ヶ月前 | □告知・集客の開始 <オンライン> □メルマガの配信 □広告の出稿 □SNSへの掲載 □オウンドメディアへの掲載 □ポータルサイトへの掲載 □セミナー集客サイトへの掲載 □プレスリリースの作成・配布 <オフライン> □DM・チラシの配布 □担当者や登壇者からの紹介 □テレアポ | |
開催2週間前 | □事前のヒアリングでニーズを回収 □セミナー内容のブラッシュアップ □当日と同じ環境でのリハーサル① | |
開催1週間前 | □開催のリマインドメール □リハーサル①の改善点を反映させたリハーサル② | |
開催当日 | □開催のリマインドメール □ウェビナーの録画 □質疑応答への対応 □アンケート回収 | |
開催後 | □ インサイドセールスによるアプローチやフォローアップ □改善点や反省点のフィードバック |
ウェビナー開催に最適なツールは?ZoomとMicrosoft Teamsを比較
ウェビナーを開催する際の配信ツールとして、よく使われているのがWeb会議ツールとしてもお馴染みの「Zoom」と「Microsoft Teams」です。ここでは、それぞれをウェビナーで活用する際の基本的な機能と特徴を紹介しますので、
必要な機能や予算に合わせて自社に最適なものを選択しましょう。
基本的な機能
Zoomは知名度が高く、最もよく使われているWeb会議ツールです。シンプルで使いやすい操作感と安定した通信品質が特徴で、ウェビナーに特化した「Zoom Webinars」という専用のプランが用意されています。
一方、Microsoft TeamsはOfficeソフトとの連携に優れたWeb会議ツールです。「Microsoft 365 Business Standard」に加入していれば、誰でもTeamsのウェビナーを利用できます。
基本的な機能にはそれぞれ以下のような違いがあります。
Zoom Webinars | Teamsのウェビナー機能 | |
会議の時間制限 | 最大30時間 | 最大33.5時間 |
最大参加人数 | 10,000人 | 1,000人 ※ブロードキャストモードの場合は10,000人 |
匿名性 | 「匿名で質問をする」オプションを有効にすることで参加者の質問が匿名で表示 | 基本的に匿名でのチャットはできない |
アーカイブ保存 | 可能 | 可能 |
参加方法 | ウェビナーIDやパスワードを入力してログイン | 送られてきたURLをクリックするだけ |
使用感 | ・グループディスカッション、ライブクローズキャプションなどのユニークな機能が充実 ・クロスプラットフォームに対応 | ・Teamsとのシームレスな統合が可能 ・チャットやファイル共有、ビデオ会議との連携が容易 |
チャットや投票などのリアクション機能
Zoom Webinarsは、以下のようなウェビナーに特化した機能が充実しています。
チャット
Q&A
ブランディング設定
挙手機能
投票機能
レポート作成
ファイル共有
アンケート機能 など
一方、Teamsのウェビナー機能は、以下のような機能が特徴的です。
Q&A
投票機能
リアクション機能
参加者の申し込みフォームの作成・管理機能
レポート作成
ブレイクアウトルーム など
Zoom Webinarsは運営側と参加者が双方向にコミュニケーションを取れるインタラクティブな機能に優れています。Teamsのウェビナー機能は参加者の申し込みフォームの作成・管理機能のほか、Officeソフトとの連携など、ウェビナー運営を効率化させる機能が豊富です。
セキュリティ面
Zoom Webinarsのセキュリティ管理は、参加者へのID・パスワードの発行やホスト側の会議参加許可設定などで強化が可能です。パスワードは、規則性のない数字や記号を合わせて複雑に設定することをおすすめします。
Teamsのウェビナー機能も、同様にセキュリティを強化して活用できます。また、Teamsのウェビナー機能にはホスト側がチャットやファイルのダウンロードした人を遡れる監査ログがあるので、万が一何かトラブルが起きた際にも早急な原因追求が可能です。
費用感
Zoom Webinarsを利用するには有料のライセンス契約が必要で、価格は月額2,000円です。これに最大参加人数を設定するアドオン(別料金)が必要になります。仮に500名のアドオンとして、年額103,500円、月額11,850円です。
Teamsのウェビナー機能は「Microsoft 365 Business Standard」(月額1,874円〜)を活用していれば無料で利用できます。
(※価格は2024年10月時点)
さらに成果を出すためのウェビナー開催支援サービス「FanGrowth」
集客やリード獲得に向けて、さらに成果を出すためのツールとしてウェビナーの開催を支援してくれるサービスを利用する手もあります。SaaS・DX事業を展開しているエキサイト株式会社では、ウェビナー開催に必要な準備をサポートしてくれるウェビナー開催支援サービス「FanGrowth」を提供しています。
ウェビナー動画をアップロードすることで、ウェビナーの文字起こしや要約、イベントレポート作成ができる「FanGrowth AI イベントレポート自動作成機能」や、企画提案を手助けしてくれる「FanGrowth AI ウェビナー企画提案機能」、大規模なカンファレンスの開催管理ができる「自社カンファレンス管理機能」、「アーカイブ配信機能」など、機能が充実しています。開催における業務負担の軽減はもちろん、顧客にとってより満足度の高いウェビナーを届けることが叶います。
まとめ
ウェビナーは一つひとつしっかりと計画を立てて開催準備を進めれば、顧客やパートナーとの関係構築や新たなプロジェクトに繋がる有効なマーケティング施策です。開催したいと思ったその日から入念に準備を進め、積極的なウェビナーの開催でリードを獲得しましょう。
FanGrowthでは実際にウェビナーを開催した経験から得たノウハウを以下の資料で解説しています。ウェビナー開催のためのToDoリストや案内メールの作成テンプレートなどのお役立ち情報を公開していますので、ぜひ以下のページから無料でダウンロードの上、ご確認ください。